朝日新聞デジタルの取材を受けて【小住優利子】

先週、朝日新聞デジタルの取材を受けました。

短い動画なので、インタビューで伝えたかったことを改めて書き記しておこうと思いました。

 

記事はこちら↓

https://www.asahi.com/sp/video/articles/ASM8Q67CMM8QUEHF00F.html?iref=sp_movienews_01

 

 

 

 

インタビューの経緯

 

ある芸能事務所の方から、朝日新聞デジタルの記者の方がLGBTの取材をできる方を探していると連絡があり、ご紹介いただきました。

約2分間の動画記事で、LGBTの方に密着取材がしたいとのことで、特に不都合はなかったのでお引き受けしました。

 

今回の取材では、「悩みは何か」「今悩んでいる人たちに伝えたいことは何か」ということが焦点だったように思います。

 

私は、正直あまり悩み事がないというか、悩む時期を通り越してしまったので、劇団立ち上げ当初の話などをしました。

 

 

劇団を立ち上げた理由

 

自分がまだ役者をやっている頃、ふと周りの役者仲間にLGBTの人が多いことに気付きました。LGBTの役者だけを集めて演劇をやったら面白いのではないかと、ゲイの友達と意気投合し劇団を立ち上げたのです。「女だから女役」「男だから男役」「男女の恋愛」自分の性自認や性指向に嘘をついた演劇は、どこか罪悪感があり、もっと開放的に演劇をしたい!という気持ちがあったと思います。自分の性自認・性指向で役者をできる場所というのがなかったので、自分たちで作るしかなかったのです。

 

 

今悩んでいる人に伝えたいこと

 

私は月並みなことしか言えませんが、自分一人だと思わないで欲しい。

どこかに自分のことを理解してくれる人は絶対にいます。

だから、今の自分を否定しないで、未来に繋げていって欲しい。

 

うちの劇団員の生き生きしている姿を見て、希望を持って欲しい。

そんな風に思っています。

そんな気持ちを演劇に乗せて届けています。

 

 

・舞台照明の仕事

 

小住は現在、舞台照明のお仕事をメインに活動しています。

 

仕事をしている姿を撮影したいとのことで、ちょうど劇場でバラシ作業の日があったので撮影していただきました。

 

そういえば、何故舞台照明の仕事をしているのか・しようと思ったのか、又、役者はやらないのかと訊かれることがあります。

私は15歳の頃から小劇場で演劇の活動をしておりました。高校で進路を考える時期に、技術職をやりたいと思い専門学校に進み照明の道を選びました。働きながら、現場で色々学んでいきたいと思ったことや、空間演出が好きなことが私を動かしました。

この頃から、「セクマイの劇団を立ち上げる」ことは視野に入れており、その土台づくりとして演劇を仕事にすることが、私の目指す場所でした。

では何故、役者ではなくスタッフ側なのかと言いますと、私にとって役者をやることもスタッフをやることも「演劇を作る」という上で同じスタンスなのです。それで、自分の適性や収入を考えた上でスタッフの仕事をしています。

 

ところで、「女性の照明さんは珍しい」と言われることがたまにあります。

力仕事や技術職は、未だに男性の仕事というイメージが強い部分があります。

確かに、力は男性に劣りますし、男性に比べ体調を崩すことも多いですが、舞台の業界では、女性の照明家は珍しくありません。(映画の業界では確かに少なかったと感じました。)

私には「男性に負けたくない」という強い意志があります。

それも、私を動かす強い原動力になっていると思います。

 

 

・バーのプロデュース

 

現在、「役者がやってるミックスバー」として中野のBARルナラパンの一部をプロデュースさせていただいています。

私が考えるバーには大きく二つの役割があります。

 

ひとつは、お客様にとって居心地のいい空間。

マイノリティな話をしても否定されない。会話が弾む。みんなが笑顔。

 

取材の中で、こんなお話をしました。

「普通の飲みの席で恋愛の話になっても、まず(レズビアンの場合だったら)彼女がいると言っただけで、「レズだったの!?」と、性指向を追及され本来したかった話の本質とずれてしまう上に、「本気で男の人を好きになったことがないからだよ」などと自分の恋愛感情まで否定されてしまい、とてもつまらない思いをする人がたくさんいます。そんな人たちが安心してお喋りできる空間を作りたい。」(まぁこれはとてもライトな例を話しましたが)

まぁ、当たり前ですが、LGBTの私たちにも人権はある訳で、しかし会社や友達との飲み会では残念ながら安心して会話できる状態にはならないことが多いです。

ここのバーでは、みんなリラックスして楽しんでいただいてるので、とても嬉しいです。

 

もうひとつは、働く人にとって居心地のいい空間。

LGBTに理解がある役者が働いているというのが、このバーの特色です。

 

そもそも何故このようなバーをやりたいかと思ったかと言いますと、

小劇場で活動する役者にとって、舞台のお仕事だけで生計を立てるのはとても難しいことです。よって、みなさんなんらかのアルバイトをしていることが多いのですが、私はこの時間をもっと有意義に使えないかと考えていました。役者をやりながらできるアルバイトを作ろうと思ったのがきっかけです。

バーでは、働いているときも役者でいられるし、トークの技術も上がるし、ファンサービスもできるし、LGBTを隠すことも無い。良いことだらけです。みんな役者なので、舞台本番が近くなったら長めに休むことも快く承諾されます。仲良くなったお客様が観に来てくれたり、本番が終わった後に感想を言いあったりもできます。お客様の中にはプロデューサーさんなどもいることがあり、オーディションのような空気になることもあります。まさに理想の空間です。

 

 

気になった方は、是非遊びに来てください。

 

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